ABSTRACT 1372(P5-4)
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各種癌におけるPTENの異常の検討:桜田晃1, 2、鈴木昭彦1、折笠一彦1、佐藤雅美2、藤村重文2、堀井明1(東北大・1医・分子病理、2加齢研・呼吸器再建)

Mutation analysis of PTEN in various human cancers: Akira SAKURADA1,2, Akihiko SUZUKI1, Kazuhiko ORIKASA1, Masami SATO2, Shigefumi FUJIMURA2, and Akira HORII1 (1Dept. Mol. Pathol., Tohoku Univ. Sch. Med., 2Dept. Thorac. Surg., Inst. Dev. Aging, Cancer, Tohoku Univ.)

PTENは10q23.3に局在し、当初glioblastoma multiformeの発生・進展に、また、がんの進行過程において重要な働きをする癌抑制遺伝子として単離されたが、この遺伝子の異常は子宮内膜癌において特に高頻度である。我々は子宮以外の各種臓器における発癌過程でのPTENの異常の関与を明らかにするため、子宮内膜癌を除く合計241例の癌(脳腫瘍25例(うちglioblastoma multiformeが11例,astrocytomaが14例)、肺癌34例、乳癌47例、膵臓癌17例、胃癌11例、大腸癌18例、卵巣癌20例、腎臓癌24例、前立腺癌45例)を用いて、遺伝子異常の解析を行った。さらに、脳腫瘍と前立腺癌に対しては、全例について全翻訳領域のsequenceを行った。PTENの変異は、241例中3例に検出された。その種類としては、exon 8でのframeshift変異(脳腫瘍1例、胃癌1例)と、exon 7でのmissense変異(脳腫瘍1例)であった。これらの結果から、PTENの変異は各種臓器の発癌過程に広く関与しているというよりも、子宮内膜における発癌過程に特別密接に関与しているものと考えられ、10qに高率にLOHが認められる神経膠芽腫や前立腺癌では、PTENの変異とは異なる機序が発がんに重要な役割を果たしている可能性が考えられた。