ABSTRACT 1380(P5-5)
甲状腺乳頭癌における新規融合遺伝子ELKS-c-retの解析:中田朋子1, 藤森実2, 横山史朗2, 清水一雄3,, 田中茂夫3,, 伊藤國彦4, 江見充1 ( 1日本医大・老人研・分子生物, 3,2外, 2信州大・2外, 4伊藤病院)
Analysis of a novel fusion gene ELKS-c-ret in papillary thyroid cancer: Tomoko NAKATA1, Minoru FUJIMORI2, Shiro YOKOYAMA2, Kazuo SHIMIZU3,, Shigeo TANAKA3,, Kunihiko ITO4, Mitsuru EMI1 (1Dept. Mol. Bio., Inst. Gerontol., 3,Dept. of Surg., Nippon Med. Sch., 2Dept. of Surg., Shinshu-Univ., 4 Ito Hospital)
【目的】わが国においては甲状腺癌のうち約80%を乳頭癌が占めている。前回、我々は甲状腺乳頭癌においてその5'側部分がc-ret遺伝子の3'側部分と結合した新しい融合遺伝子ELKS-c-retの存在を報告した.今回はELKSおよびELKS-c-retの構造,機能と癌化への関与について検討する.【方法】cDNAのクローニングを行うとともに,甲状腺乳頭癌の組織の癌部よりRNAを抽出し、RT-PCRにより融合遺伝子の発現を調べた.さらにin vitroで融合タンパクを合成し,機能解析を試みた.【結果】ELKSタンパクは948アミノ酸からなり,coiled-coil 構造を取る領域があることが明らかとなった。このことから,ELKS-c-ret融合タンパクが恒常的に二量体を形成することによって,c-retのkinaseが活性化され,細胞を癌化することが示唆された.また,甲状腺乳頭癌の組織の癌部特異的にELKS-c-ret融合遺伝子の発現が確認された.ELKSおよびELKS-c-retタンパクをin vitroで合成し,その性質を調べた結果についても報告する.