ABSTRACT 1381(P5-5)
Ewing肉腫および末梢性原始神経外胚葉性腫瘍(pPNET)におけるホルマリン固定パラフィン包埋組織からのNested RT-PCR法を用いたキメラ遺伝子の検出:久岡正典, 森光洋介, 橋本洋(産業医大・医・病理)
Detection of chimeric gene in formalin-fixed, paraffin-embbeded tissues of Ewing's sarcoma and peripheral primitive neuroectodermal tumor (pPNET) by nested RT-PCR:Masanori HISAOKA, Yosuke MORIMITSU, Hiroshi HASHIMOTO (Dept. of Pathol., Sch. of Med., Univ. of Occupational and Environmental Health)
[目的] Ewing肉腫及びpPNETにおいて特異的に認められる代表的なキメラ遺伝子EWS/FLI-1がそれらの腫瘍のホルマリン固定パラフィン包埋組織からでも検出可能か否か検討した。[方法] Ewing肉腫及びpPNET15例のホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織より抽出したRNAから逆転写反応によってcDNAを合成し、Adamsら(Diagn Mol Pathol 1996)の方法を用いてEWS/FLI-1の配列を増幅するnested PCRを行った。得られたPCR産物をクローニングし、自動シークエンサーにてその塩基配列を確認した。増幅可能なmRNAの有無はβアクチン遺伝子産物に対するPCRで判定した。[結果と考察] 15例中14例(93%)にβアクチン遺伝子産物が検出され、その全例にEWS/FLI-1キメラ遺伝子産物が検出できた。塩基配列の解析により3種類の異なる遺伝子融合産物が確認された。本結果からホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織からでも特異的なキメラ産物を検出可能な場合が多く、本検出法はこれら腫瘍の補助的診断法の一つとして有用であることが示唆された。