ABSTRACT 1385(P5-5)
MTG8蛋白質のリン酸化による修飾:神津知子1,小森敦正2,福山朋房1,末岡榮三朗1,藤木博太1(1埼玉がんセ・研,2九大・医・一内)
Modification of MTG8 protein by phosphorylation : Tomoko KOZU1, Atsumasa KOMORI2, Tomofusa FUKUYAMA1, Eisaburo SUEOKA1, and Hirota FUJIKI1 (1Saitama Cancer Center Res. Inst., 21st Dept. Int. Med., Kyushu Univ.)
MTG8遺伝子は、急性骨髄性白血病t(8;21)転座によりAML1-MTG8 融合遺伝子として発現することから見い出された。MTG8蛋白質は、主に核に存在し、PST配列に富み、ZnフィンガーモチーフやTAF110相同領域を持つなどの特徴から転写調節因子と考えられる。AML1-MTG8 融合蛋白質におけるMTG8蛋白質の機能については未だ不明である。私共はこれまでに、MTG8の過剰発現がv-H-rasとの共存下で造腫瘍性を示すこと、細胞質画分に含まれる複数のプロテインキナーゼによってリン酸化を受けること等を明らかにした。今回は、MTG8蛋白質のリン酸化部位と、それを担うプロテインキナーゼを同定する目的で、リコンビナントMTG8蛋白質を用いて、in vitro でのプロテインキナーゼの会合、リン酸化、およびホスフォアミノ酸の同定を行った。全長のリコンビナントMTG8蛋白質は、HEL細胞の細胞質画分中で、セリンとスレオニンが3:1の比率でリン酸化された。ホスフォチロシンは検出されなかった。PST領域とTAF110相同領域を含むMTG8N末端領域のリン酸化の比率は、セリンとスレオニンが1:1であるのに対し、ZnフィンガーとPST領域を含むMTG8C末端領域は、3:5の比率でリン酸化された。全長およびN末端領域をバイトとしたプルダウン法により、細胞質画分中のカゼインキナーゼ(CKII)の結合が確認された。CKIIは、細胞増殖に必須のプロテインキナーゼであり、MTG8の機能発現に密接に関与していると考えられる。