ABSTRACT 1387(P5-5)
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誘導発現ベクターを用いた11q23転座領域遺伝子MLLの機能解析:城 達郎,細川好孝,鈴木律朗,鈴木裕子,瀬戸加大(愛知がんセ・研・化療)

Expression of a chimeric MLL gene using an inducible expression system:Tatsuroh JOH, Yoshitaka HOSOKAWA, Ritsuro SUZUKI, Hiroko SUZUKI, Masao SETO (Lab. of Chemother., Aichi Cancer Ctr. Res. Inst.)

第11番染色体q23(11q23)領域転座は乳児白血病及び治療関連二次性白血病に高頻度に認められ,種々の染色体との相互転座を特徴とする. 転座によりMLL (Mixed Lineage Leukemia)遺伝子と転座相手遺伝子LTG (Leukemia Translocation Gene)はキメラ遺伝子を形成する. 我々はこれまでにMLL-LTG9及びMLL-LTG19キメラ蛋白の形成を証明し,キメラ蛋白が核に局在することを証明した(JOH et al., Oncogene 13, 1945, 1996). LTG9及びLTG19蛋白も核蛋白であったため,性質の異なる転座相手遺伝子としてRasに結合する細胞質蛋白AF6を選んで検討したところ,AF6単独では細胞質に局在するのに対し,MLL-AF6キメラ蛋白は核に局在した. 更に,MLL転座切断点のN端側領域のみの産物も核に局在し,その際,AT-hook motifsが重要な役割を果たすことも明らかにした(JOH et al., Oncogene 15, 1681, 1997). これらの結果は,MLL遺伝子が分断されキメラ蛋白が核に局在し機能することが腫瘍化にとって重要であることを示唆するものと考えられる. MLLキメラ蛋白を発現した時どのような変化が生じるのかを明らかにするため,マウス32Dcl3細胞を用いてMLL-LTG9キメラ及びMLL-N端をinducibleに発現できるsystemを構築した. 樹立細胞は発現誘導刺激により各々の産物を発現誘導できることを確認した. MLLノックアウトマウスの解析において報告されたHox遺伝子群の発現について検討したところ,MLL-LTG9キメラ及びMLL-N端を発現誘導すると, Hox遺伝子(a7, b7, c9)の発現低下を認めた. 現在,細胞増殖,分化に関する機能について解析しつつある.