ABSTRACT 1388(P5-5)
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ラットABLの構造とDMBA白血病K3D株での異常:小網健市,逢坂光彦1,2、高橋 玲,杉山武敏(京大・医・腫瘍生物,シカゴ大・血液内科、滋賀成人セ)

Genetic structure of rat ABL gene and its rearrangement in DMBA-induced leukemia K3D cells: Ken-ichi KOAMI, Mituhiko OSAKA1,2, Rei TAKAHASHI1, Taketoshi SUGIYAMA3,(1Dept. Path. Tumor Biol.,Graduate Sch. Med., 3 Kyoto Univ. 2Section Hematol.,Dept. Med. Univ. Chicago, Shiga Medical Center for Adults) .

ラットのDMBA白血病はN-ras変異とN-rasに関連した 遺伝子不均衡(#2 trisomy)を特徴とする.その培養株K3Dには2次的と考えられるabl:rDNA転座を認め(Takahashiら,PNAS, 83, 1079-1083, 1986),これは,癌における遺伝子組み替え機構と意義を解明する実験モデルとなり得る.abl遺伝子についてはマウスとヒトではエクソン構造,c-DNAの塩基配列が解明されているが,ラットではゲノムDNAからv-ablに雑種するいくつかのDNA断片がクローンされv-ablとの関係,一部断片の塩基配列がわかっているにすぎない(Miharaら,BBRC, 154,1061-1066,1988).5kbに及ぶマウスとヒトでのcDNAの塩基配列の一致をHarr plotで見るとSH1-3(リン酸化ドメイン)を含む5`側が一致性が高い.今回,マウスとヒトのc-ablの20塩基以上連 続塩基相同部位33カ所のうちからラットのabl解明のための正逆14個のプライマーを構築、これらについてc-abl の全塩基配列を決定,これをもとに,より特異性の高いプライマーを構築し,ラットのablゲノムの構造,rDNAとの転座の構造を解明する方向で研究を進めた.今回は、その結果を報告する.