ABSTRACT 1389(P5-5)
染色体17q12アンプリコン上のC51遺伝子の単離並びにc-ERBB2遺伝子との融合転写産物の解析:根津雅彦1、佐々木博己1、桑原勝孝1、齋藤康2、杉村隆1、寺田雅昭1(1国立がんセ研・分子腫瘍、2千葉大・医・2内)
Isolation of C51 gene amplifying with c-erbB2 and Characterization of C51 / c-ERBB2 fusion transcript: Masahiko NEZU1, Hiroki SASAKI1, Yoshitaka KUWAHARA1, Yasushi SAITO2, Takashi SUGIMURA1 and Masaaki TERADA1 (1Genetics Div., Natl. Cancer Ctr Res. Inst., 2 2nd.Dept. Int. Med. Chiba Univ.)
c-ERBB2遺伝子を含む染色体17q12領域の増幅はヒト胃がん・乳がんで頻繁にみられる。このアンプリコン上の複数の発現遺伝子の中で、C51遺伝子はコア領域に位置し近傍のc-ERBB2と100%共増幅している。λEMBL3クローンのファイバー-FISH法によってC51・c-ERBB2間の距離は約20kb未満と推定される。本遺伝子のクローニングの過程で5kbのポリ(A)付加転写物を得たが、その3'側4kbはc-ERBB2のエクソン2以下と一致した。この融合転写物の翻訳開始点は本来の転写物のエクソン2内の2nd ATGとなるが、蛋白としての機能的な差異はないと予想される。またRT-PCR法により解析したヒト胃がん・乳がん細胞株の全てで同様の融合転写物が発現していた。以上からC51遺伝子5'上流のプロモーター領域は、c-ERBB2の新規プロモーターとして働くことが考えられる。更に正常成人組織でC51の発現がみられないことから、本プロモーターは腫瘍特異的である可能性がある。本学会では本来のC51遺伝子と予想される4.7kbの転写物のクローニングの結果と併せ、c-ERBB2の2つのプロモーターの活性比較の検討について報告する。