ABSTRACT 1390(P5-5)
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ヒト食道がんTE6細胞株における遺伝子共増幅領域の FISH法による解析:池内達郎1,林 愛子1,2, 斎藤深美子1, 桑原勝孝3, 坂本裕美3, 佐々木博己3, 寺田雅昭31 東京医歯大・難治研・遺伝疾患,2東邦大・理・生物,3国立がんセ研・分子腫瘍)

FISH analyses of the gene amplifications in an esophageal cancer TE6 cell line : Tatsuro IKEUCHI1, Aiko HAYASHI1,2, Fumiko SAITO-OHARA1, Yoshitaka KUWAHARA3, Hiromi SAKAMOTO3, Hiroki SASAKI3 and Masaaki TERADA3 (1Div. Genet., Med. Res. Inst., Tokyo Med. & Dent. Univ., 2Dept. Biol., Fac. Sci., Toho Univ., 3Genet. Div., Natl. Cancer Center Res. Inst.)

がん細胞におけるゲノム不安定性を示す現象のひとつに遺伝子増幅がある.食道がん由来の TE6 細胞株は,cERBB2 を含む5個の遺伝子領域 (17q12) と HST1, INT2などの遺伝子を含む領域 (11q13) とが共増幅している.遺伝子増幅の機構と構造を知るための研究の一環として, 増幅ユニット内に同定された複数個の遺伝子に対応する FISH およびそれらが所属する染色体の painting FISH を行い,染色体上での増幅領域の分布様式を解析した.その結果, 増幅しているどの遺伝子も元の染色体座位にはなく, それぞれが散在せず常にまとまったユニットとして他の染色体に転位して増幅していることを見いだした.c-ERBB2 を含む増幅領域は小型のマーカー染色体のセントロメア周辺に存在し,HST1/INT2 の増幅遺伝子領域は大型のマーカー染色体上でHSR (homogeneous staining region) を構成していることが示された.上記の知見をさらに検証するために, 増幅ユニットに含まれない近傍の DNAプローブを用いたFISHを施行中である.