ABSTRACT 1392(P5-6)
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悪性脳腫瘍におけるp21WAF1/CIP1の発現と放射線感受性:穀内隆、玉木紀彦(神戸大・脳外)

Radiosensitivity and expression of p21WAF1/CIP1 in malignant brain tumors: Takashi KOKUNAI, Norihiko TAMAKI (Dept. of Neurosurg., Kobe Univ. Sch. of Med.)

【目的】p21WAF1/CIP1 (p21)はp53依存性または非依存性に細胞周期調節因子として作用している。培養脳腫瘍細胞に対してp21を過剰発現させると、細胞増殖能の低下、G1期停止、細胞分化形質の誘導などが引き起こされるが、apoptosis誘導機構における役割はよくわかっていない。
今回、悪性脳腫瘍におけるp21の発現と放射線誘導性apoptosisの関連について解析した。【方法】正常脳組織4例、神経外胚葉系腫瘍38例、germinoma4例、悪性リンパ腫4例におけるp21の発現を免疫組織学的に解析した。また培養脳腫瘍細胞にp21発現ベクターを導入しp21高発現クローンを得、放射線感受性の変化を解析した。【結果】放射線抵抗性であるastrocytic tumorではp21は高発現を示し、一方放射線感受性であるmedulloblastoma、germinoma、悪性リンパ腫ではp21の発現は低率であった。
放射線感受性脳腫瘍細胞ではp21の発現量は低く、この腫瘍細胞にp21を高発現させると、放射線抵抗性の獲得およびapoptosisが誘導された。【結語】悪性脳腫瘍においてp21は放射線抵抗性の要因の一つと考えられた。