ABSTRACT 1393(P5-6)
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各種口腔腫瘍におけるp27蛋白の発現:伊藤玲子1, 安井 弥2, 山内 忍1, 田原榮一2, 伊集院直邦11大阪大・歯・口腔病理, 2広島大・医・第一病理)

Expression of the p27 protein in the various oral tumors : Reiko ITO1, Wataru YSUI2, Shinobu YAMAUCHI1, Eiichi TAHARA2, Naokuni IJUHIN1 (1Dept. of Oral Pathol., Osaka Univ. Facl. of Dent., 21st Dept. of Pathol., Hiroshima Univ. Sch. of Med. )

【目的】p27Kip1は、Cyclin/Cdk阻害蛋白で、 細胞周期を負に制御している。p27の発現低下は、乳癌・大腸癌・胃癌において、悪性度や生存率の指標となると報告された。今回我々は、種々の口腔腫瘍におけるp27蛋白の発現と臨床病理学的事項との関係、および、cyclin E蛋白の発現との相関について検討したので報告する。【材料および方法】外科的に切除された、扁平上皮癌43例、粘表皮癌19例、多型性腺腫16例のホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いた。免疫染色は抗p27抗体およびCyclin E抗体を用い、ABC法にて行った。
【結果】扁平上皮癌43例中37例 (88%) 、粘表皮癌19例中18例 (95%) においてp27蛋白の発現低下が認められた。良性腫瘍である多型性腺腫では全症例において強陽性であった。扁平上皮癌において、分化度・浸潤・転移とp27蛋白発現との関係を検討したが、有意な相関は認められなかった。Cyclin E蛋白の発現との関係では、Cyclin E蛋白陽性だった36例のうち33例 (92%) においてp27蛋白発現の低下が確認されp27蛋白とCyclin E蛋白との発現は有意に逆相関を示した。
【結語】口腔腫瘍におけるp27蛋白の発現は、多型性腺腫では保たれており、扁平上皮癌および粘表皮癌においては明らかな発現減弱が認められたことから、悪性形質の獲得に大きく関与している可能性が示唆された。