ABSTRACT 1398(P5-6)
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膵癌におけるp27蛋白の発現: 山口泰志,胡育新, 渡辺弘之, 大坪公士郎, 澤武紀雄 (金沢大・がん研・内)

Expression of p27 protein in human pancreatic carcinoma : Yasusi YAMAGUCHI,Yi-Sin Hu,Hiroyuki WATANABE,Kohsiro OHTSUBO,Norio SAWABU: (Dep. of Int. med., Cancer. Res. Inst. Hosp., Kanazawa Univ.)

目的 p27は細胞周期調節に関与する癌抑制遺伝子として機能すると考えられ, 幾つかのヒト癌においてp27発現と悪性度の相関が報告されている.膵癌に関しては検討されておらず, 我々はこの点につき検討した.対象と方法 膵癌由来培養細胞株4株, 正常膵6例, 良性膵疾患22例, 膵癌54例(腺癌46例, 嚢胞腺癌6例, 腺扁平上皮癌2例)を対象とし, 抗p27蛋白抗体(C-19:Santa Cruz Biotec.)を用いて免疫染色を行った.
結果 正常膵6例,良性膵疾患22例中では2例を除き,p27の膵管や腺房の細胞核に明らかにに染色されるものは認めなかった.細胞核に強く染色され,5%以上の細胞に染色を認めたものを陽性とすれば,p27は膵癌で13/54(24. 1%), 培養細胞株2/4に陽性であった.分化度との関係をみると, 高分化型では,中-低分化型に比してp27の陽性頻度が有意に高く,また,臨床病期との関係では, stageI, IIに比べ, III, IVでは有意に発現が低下していた(p<0.05).結論.膵癌ではp27は高頻度で発現が低下しており, 膵癌の進展に関与していることが示唆された.