ABSTRACT 1402(P5-6)
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p53非依存的 WAF1遺伝子誘導に関与するシグナル伝達系の解析:江川 清、野瀬 清(昭和大・薬・微生物)

Analysis of signal transduction associated wih p53 independent induction of WAF1 gene: Kiyoshi EGAWA, Kiyoshi NOSE (Dep. Microbiol., Showa. Univ. School of Pharm.Sci.)

[目的]WAF1遺伝子は細胞増殖の負の制御に関与している。最近,我々は TrichostatinA, Actinomycin D がp53非依存的にWAF1遺伝子を誘導することを明らかにし、これらの薬物による転写活性部位にSp1部位が必要であることを示した。またこれら薬物の処理ではSp1結合活性には変化がみられず、Sp1配列結合因子と相互作用する因子の存在が考えらる。一方、これらの薬物よるWAF1遺伝子の誘導がある種のkinase inhibitor によって阻害されたことから、これら薬物によるp53非依存的WAF1遺伝子を誘導に関与するprotein kinaseの同定とそのシグナル伝達系の検討を行った。[方法・結果]WAF1遺伝子5,上流-210bpのDNA断片をルシフェラーゼ遺伝子に連結したレポーター(WWP/Pst /Luc)を構築し、これをp53の欠損および変異したヒト癌細胞(Saos-2,TMK-1)に導入し、安定にレポーターを保持している株を分離した。これらの細胞におけるTrichostatinAまたはActinomycin D によるWAF1遺伝子誘導活性はStaurosporin ,Wartomanninの両方で強く阻害された。従ってこれら薬物によるp53非依存的なWAF1遺伝子誘導作用にPI3キナーゼおよびある種のセリン/スレオニンキナーゼの活性化がこの誘導に必要と考えられる。セリン/スレオニンキナーゼのうち活性化Mekk1の発現ベクターとWWP/Pst/Luc をp53(-/-)マウス繊維芽細胞にco-transfect したとろWAF1遺伝子誘導活性がみられ、53非依存WAF1遺伝子誘導にMAPK経路のシグナルが仲介する可能性が示された。