ABSTRACT 1403(P5-6)
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c-Myc蛋白質による p21Waf1/Cip1/Sdi1 の不活化:北浦廣剛1、大塚栄子2、吉川寛、有賀(井口)早苗、有賀寛芳1(北大、薬・1 分生・2 有機、医短、奈良先端大・バイオ・動物分子遺伝)

Inactivation of p21Waf1/Cip1/Sdi1 by c-Myc protein : Hirotake KITAURA1, Eiko OHTSUKA2, Hiroshi YOSHIKAWA4, Sanae M. M. IGUCHI-ARIGA3, Hiroyoshi ARIGA1 ( Laboratory of 1Mol. Biol., 2Gene Org. Chem., Faculty of Pharm. Sci. and 3College of Med. Tech., Hokkaido Univ.; 4Nara Institutes of Science and Technology )

目的:我々は、C-MYC が p21Waf1/Cip1/Sdi1蛋白質(p21)の C末端部位に結合することを昨年の本大会において発表した。このC末端部位は PCNA (増殖細胞核抗原) 結合部位として知られているが、一方C-MYC結合蛋白質であるRB関連蛋白 p107 の Pocket domain Bに高度なホモロジーを示し、実際この部位にC-MYCが結合することが新たに判明した。C-MYCが結合するp21, p107 ともに細胞増殖を抑制する作用を持つことから、C-MYC の新たな機能として、蛋白質 - 蛋白質相互作用により p21, p107 を不活化し細胞増殖を促進するというモデルを提起した。そこで今回、この仮説を検証するための生物学的機能の解析を行った。 方法・結果:DNA polymerase deltaと PCNAを用いた in vitro DNA 複製系において、p21によるDNA 複製阻害への C-MYC の作用を解析した。その結果、C-MYC は弱いながらも p21 による阻害を解除し、DNA pol delta 活性を回復させた。このことは、C-MYC が DNA 複製酵素の活性化に直接関与しうることを示しており、 C-MYCによる細胞がん化を考える上でも興味深い。現在、p21のもう一つの機能であるCyclin-Dependent Kinase 阻害へのC-MYC の作用、さらに転写因子としての C-MYC の機能にp21が干渉するかどうかについても検討中である。