ABSTRACT 1406(P5-6)
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CDK阻害因子p27とE1Aとの相互作用:野村 創、澤田幸治1、大滝幸哉 (宮崎医大・臨床検査医学、 1札幌医大・医・がん研)

Interaction of CDK inhibitor p27 and adenovirus E1A proteins: Hajime NOMURA,YukiharuSAWADA1,SachiyaOHTAKI (Dept. Lab. Med., Miyazaki Med. Col., 1Dept. Mol. Biol., Cancer Res. Inst., Sapporo Med. Univ. Sch. Med.)

 [目的] アデノウイルスE1A蛋白はpRBやp300などの蛋白と相互作用し、細胞周期や転写を調節する。ここではE1A蛋白の新しい標的とされるCDK阻害因子p27とE1Aとの相互作用とそのCDKのりん酸化反応に対する効果を調べた。
[方法]ラットp27cDNAのコード領域を分割してヒスチジン・タグ付加ベクターに組み換えた。アデノウイルス5型と12型E1Aの12Sタイプと13SタイプcDNA、および12型E1Aコード領域の各部分をGST融合ベクターに組み換えた。それぞれ大腸菌中に発現誘導し、精製した。CDK2、CDK4は特異抗体を用いてラット細胞より免疫沈降にて分離し、ヒストンH1およびGST−E1A蛋白を基質としてりん酸化アッセイを行った。
[結果と考察]p27は5型および12型E1Aとin vitro で結合した。E1Aとの結合にはp27のN端領域と中間領域が関与し、C端領域は結合しなかった。一方、E1A蛋白は主としてC端部分でp27のN端領域と結合したが、他の部分の関与も示された。GST−p27はCDK2複合体によるヒストンH1のりん酸化を阻害したが、GST−E1A蛋白はこのp27による阻害を解除しなかった。CDK2複合体と異なり、CDK4複合体はE1A蛋白をほとんどりん酸化しなかったが、GST−p27存在下では逆にE1A蛋白のりん酸化が認められた。CDK阻害因子p27がCDK4複合体の基質特異性を調節する可能性が示された。