ABSTRACT 1426(P5-8)
粘液産生膵腫瘍における遺伝子異常:
川平 洋1、小林 進1、金子健太郎1、鈴木一史1、貝沼 修1、浅野武秀1、磯野可一1(1千葉大・医・二外)
Genetic mutations of Intraductal papillary Mucinous Tumors(IPMT) in the pancreas: Hiroshi KAWAHIRA1,Susumu KOBAYASHI1,Kentarou KANEKO1,Kazufumi SUZUKI1,Osamu KAINUMA1,Takehide ASANO1,Kaichi ISONO1(12nd Dept. Surg.,Sch.Med.,Ciba Univ.)
[目的]粘液産生膵腫瘍は、一般に発育速度が緩徐で膵管内進展を特徴とし、比較的予後が良いと考えられている。しかし、症例数の増加に伴い、早期に間質に浸潤、あるいは術後再発例も経験されるようになった。我々は、術前診断において粘液産生膵腫瘍とされた症例が、どのような生物学的特性、遺伝子変化を有する腫瘍であるのか探るため、[方法]1992年4月から1996年12月まで、当科にて術前に粘液産生膵腫瘍と診断され切除された23例、膵管癌4例を対象とし、免疫染色とmicrodissection法を用い、分子生物学的検索を行った。
[結果]p53の免疫染色は、膵管癌4例中2例50%、粘液産生膵腫瘍23例中2例8.7%で浸潤性発育を示した症例であった。またKi-67、PCNA、Bcl-2の免疫染色の結果に相関関係を認めなかった。現在、microdissection法にて腫瘍部分よりDNAを採取、PCR-SSCP法にてKi-ras、p53などの変異及び部位を検索中である。