ABSTRACT 1429(P5-8)
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Microdissection法を用いた、管内異型過形成(PIN)におけるp53遺伝子異常の検討:安永 豊1, 2、申 勝1、三木恒治2、奥山明彦2、青笹克之11阪大・医・病理病態、2阪大・医・泌)

p53 gene alteraions in microdissected prostatic intraepithelial neoplasia : Yutaka YASUNAGA1, 2, Masaru SHIN1, Tsuneharu MIKI2, Akihiko OKUYAMA2, and Katsuyuki AOZASA1(1Dept. of Pathology, Osaka Univ. Med. Sch. , 2Dept. of Urology, Osaka Univ. Med. Sch. )

管内異型過形成(PIN)は前立腺癌の前癌病変とされているが、遺伝子異常についての知見はきわめて乏しい。そこでわれわれはPINにおけるp53遺伝子異常について検討を加えた。【方法】おもに前立腺全摘標本を中心として、prostatic carcinomaおよびその近傍に認められたPINから、microdissection法を用いてそれぞれ独立にDNAを採取した。p53遺伝子のexon 5-8の領域についてPCR-SSCP法によるscreeningを行ない、変異の認められたcaseについてはdirect sequencingにより、塩基配列を解析した。【結果】Prostatic carcinomaと診断した20例のうち5例(25%)、PINと診断した22例のうち3例(14%)に、p53遺伝子変異を認めた。2例については、相共存するcarcinomaとPINから、それぞれまったく異なるexonに異なるタイプのmutationが示された。のべ13件の変異内訳は、5件にsilent mutationを、1件にnonsense mutationを認めた。変異のパターンとしては、G to A transitionが最も多かったが(69%)、carcinomaとPINとのあいだには有意な差はみられなかった。【考察】頻度は少ないものの、PINについてもすでにp53遺伝子異常が生じていることが明らかになった。また共存するPINとcarcinomaとが同一の変異を示した例はなかった点は興味深く、症例を追加して検討する必要がある。