ABSTRACT 1431(P5-8)
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熱傷後瘢痕に生じた軟部肉腫におけるp53癌抑制遺伝子異常(PCR-SSCP法を用いた解析):長沢智彦1、中西啓文1、板見智2、吉川邦彦2, 青笹克之1(大阪大学・医・1 病理病態学、2 皮膚科学))

Frequent p53 gene mutations in soft tissue sarcomas : Tomohiko Nagasawa1, Hirofumi Nakanishi1, Satoshi Itami2, Kunihiko Yoshikawa2, and Katsuyuki Aozasa1 (1Dept. of Pathology, 2 Dept. of Dermatology, Osaka Univ. Med. Sch. )

(目的)熱傷後瘢痕には扁平上皮癌がしばしば発生するがp53遺伝子異常が高頻度にみられる。熱傷後瘢痕にはまれに軟部肉腫も発生する。5 例の熱傷後瘢痕に発生した軟部肉腫ついてp53遺伝子異常を解析した。
(対象および方法)熱傷時の年令および軟部肉腫発症までの期間の中央値は各々3 歳, 60 年であった。組織学的には全例が悪性線維性組織球腫であった。パラフィンブロックから抽出したDNAを材料にPCR-SSCP (polymerase chain reaction-single strand conformation polymorphism) 法 とdirect sequncing を行いp53遺伝子異常をexon5-8について解析した。また対照としてsporadic軟部肉腫の20 例についても同様な解析を行った。
(結果)5 例中 4 例 (80%) に遺伝子異常を認め、対照の20 例中 4 例 (20%) に比し高頻度であった(P<0.05)。異常を認めた4 例には11 個の塩基置換を認め、1 例を除き全て2 個以上の変異を有していた。なお 11 個の塩基置換のうち10 個がtransitionでありそのうち8 個が G : A→C : T 変異であった。
(考察)熱傷後の瘢痕には慢性皮膚炎を随伴することが多く炎症巣で生成されたgenotoxicな物質が p53 遺伝子異常を惹起した可能性がある。