ABSTRACT 1436(P5-9)
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軟部腫瘍における筋特異的p53標的遺伝子P2XMの発現異常:名和厳1,2,三好康雄1,吉川秀樹3,越智隆弘2,中村祐輔1,41阪大・バイオセ・臨床遺伝,2阪大・医・整外,3大阪成人セ・整外,4東大・医科研・ヒトゲノムシークエンス解析分野)

Frequent alterations of expression pattern in P2XM, a p53-inducible gene, in soft tissue tumors: Gen NAWA1,2, Yasuo MIYOSHI1, Hideki YOSHIKAWA3, Takahiro OCHI2 and Yusuke NAKAMURA1,4 (1Dept. Clin. Genet.,Biomed. Res. Ctr, Osaka Univ., 2Dept of Orthop. Surg., Osaka Med. Ctr. for Cancer and Cardiovascular Diseases., 3Dept. of Orthop. Surg., Osaka Univ., 4 Lab. Mol. Med., Inst. Med. Sci., Hum. Genome Ctr.,Tokyo Univ.)

軟部腫瘍において、およそ10〜30%の例でp53遺伝子の変異が報告されている。P2XMは筋肉特異的に発現している遺伝子であり、正常p53によって発現が誘導されるATP-gated ion channelの一つである。軟部腫瘍由来の細胞株では2カ所ある膜貫通領域の一部を欠いた非機能的と推測される3種類のスプライス変異が知られている。今回、外科切除された軟部肉腫47例、良性軟部腫瘍9例の計56例の軟部腫瘍に対して、P2XMの発現異常(低下あるいはスプライス変異)の検討とp53遺伝子変異を検索した。その結果、軟部腫瘍56例中41例(73%:発現低下16例、変異型スプライシングの増強25例)にP2XMの発現異常を認めた。腫瘍の良性、悪性での異常の頻度には差を認めなかった。p53の異常は56例中8例に認められ、1例を除きすべてP2XMの発現異常を示していた。今回の結果は、P2XMの発現異常が軟部腫瘍の発生に関与している可能性を強く示唆するものである。