ABSTRACT 1437(P5-9)
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p53 により発現が誘導される新規遺伝子の単離:
井阪茂之1,2、三好康雄、時野隆至、東 千尋、村田雄二、中村祐輔1,4(阪大・バイオセ臨床遺伝・医・産婦人科 , 札幌医大・がん研分子生物, 東大・医科研・ヒトゲノムセ・シークエンス解析)

Isolation of a novel p53-inducible gene:Shigeyuki ISAKA1,2,Yasuo MIYOSHI,Takashi TOKINO, Chihiro Azuma, Yuji Murata,YusukeNAKAMURA1,4
(1Dept.Gynecol.andObstet.,2Dept.Med.Genet,Biomed.Res.Center, Osaka Univ, 3Dept Mol Bio.,Cancer Res Inst,Sapporo Med Univ.Sch Med., 4Human Genome Res.Ctr.,Inst. Med. Sci., Tokyo Univ.)

癌抑制遺伝子p53は転写活性化因子であることから、その標的遺伝子を単離することは癌の発生・進展の機序を解明するために重要である。そこで、酵母を用いて直接 p53が結合するDNA断片をクローニングする系を構築し、p53 結合配列を含むDNA断片を単離した。さらに、この断片をプローブにコスミドクローンを単離し、この全塩基配列を決定した。この配列を、エクソンを予測するコンピュータープログラムを用いて解析し、その結果得られた候補エクソン領域をプローブとしてcDNAライブラリーのスクリーニグを行った。単離された遺伝子は3kbのmRNAをubiquitousに発現するが、心、脳、小腸などでは発現量の多いことが確認された。また、精巣では、これに加え、1.1kbのmRNAの発現が認められた。この遺伝子はp53に異常のある大腸癌細胞株(SW480)に正常p53を導入すると、それにともなって発現の誘導されることが確認された。この遺伝子のコードする遺伝子産物は既知の蛋白との相同性をまったく認めず、現在、癌細胞株への遺伝子導入などにより、機能解析を行っており、これも併せて報告する。