ABSTRACT 1438(P5-9)
p53 により転写活性化される新規遺伝子の単離 : 福田清輔1,2、時野隆至1,3、西森博幸1、浦野勉1、柴田尚武2、中村祐輔1 (1東大・医科研・ヒトゲノム解析センター、2長崎大学・医・脳外、3札幌医大・医・がん研・分子生物)
Isolation of a gene whose expression is induced by p53: Seisuke FUKUDA1,2, Takashi TOKINO3, Hiroyuki NISHIMORI1,Tsutomu URANO1, Shobu SHIBATA2, Yusuke NAKAMURA1 (1Dept. Mol. Med., Inst. Med. Sci.,Univ.Tokyo, 2Dept. Neurosurg., Univ. Nagasaki, 3Dept. Molecular Biology, Cancer Res Inst.Sapporo.Med.Univ.)
癌抑制遺伝子p53は、ヒト癌で最も高頻度に変異が認められている遺伝子であり、臨床的にも癌の悪性度や転移に関与していることが示唆されている。p53遺伝子産物は、特定の塩基配列に結合し、その標的遺伝子の転写を活性化することが知られている。標的遺伝子を単離することは、p53の生理機能、癌発生、進展のメカニズムを解明するために重要な課題である。我々は、p53結合配列を含むコスミドクローンを単離し、エクソントラッピング法、あるいはコスミド全長の塩基配列を決定しコンピューターによるエクソン予測プログラムより、エクソン断片を得、複数の新規p53標的遺伝子を単離してきた。今回、同様の手法でp53結合配列を含むコスミドクローンから複数のエクソン断片を単離し、RT-PCR法によりこれらのエクソン断片が正常型p53により発現が誘導されることを確認した。またこのコスミドクローンはNeuroblastomaをはじめ数種の癌で欠失が確認されている1p36.13にマップされることから、これらの癌との関連について検討している。