ABSTRACT 1440(P5-9)
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野性型ならびに変異型p53がん抑制遺伝子を有するラット卵黄嚢腫瘍細胞株のカフェインによる放射線増感効果:三橋紀夫,斎藤淳一,前林勝也,桜井英幸,秋元哲夫,斎藤吉弘,早川和重,新部英男 (群馬大・放医)

Caffeine-induced radiosensitization for two rat yolk sac tumor cell lines with different p53 status: Norio MITSUHASHI, Jun-ichi SAITO, Katsuya MAEBAYASHI, Hideyuki SAKURAI, Tetsuo AKIMOTO, Yoshihiro SAITO, Hideo NIIBE (Dept.of Radiol., Gunma University)

【目的】野性型ならびに変異型p53がん抑制遺伝子(p53)を有するラット卵黄嚢腫瘍細胞株を用いてカフェインによる放射線増感効果の差異について検討した.
【材料ならびに方法】野性型p53を有し放射線感受性の高いNMT-1細胞と,NMT-1に照射を繰り返すことで樹立した変異型p53を有する放射線抵抗性株NMT-1R細胞を用い,カフェイン処置による細胞周期の変化ならびにカフェインによる放射線増感効果について比較検討した.
【結果】カフェイン0.5mMの添加では照射によるG2Mブロックの解除は明らかでなかったが、カフェイン濃度を2mMに増加すると,明らかな照射によるG2M ブロックの解除が両細胞株に認められた.照射単独群とカフェイン2mM添加群で照射線量効果曲線を比較すると,変異型p53を有するNMT-1R細胞のみにカフェインによる放射線増感効果が認められた.しかし,明らかなG2M ブロックの解除を誘導しない濃度である0.5mMのカフェインの添加では,増感効果は明らかでなかった.
【結論】野性型p53遺伝子を有する放射線感受性株NMT-1ではカフェインによる放射線増感効果は明かでなかったが,変異型p53遺伝子を有する放射線抵抗性株NMT-1Rではカフェインによる明らかな増感効果が認められた.