ABSTRACT 1441(P5-9)
XPバリアント細胞の高突然変異性へのp53経路の関与;後藤佐智子、鈴木啓司、児玉靖司、渡邉正己(長崎大・薬・放射線生命)
Participation of p53 pathway on high mutability of XPvariant cells.; Sachiko GOTO, Kenji SUZUKI, Seiji KODAMA, Masami WATANABE (Lab. Radiat. Life Sci., Pham. Sci., Nagasaki Unuv.)
[目的]XPバリアント(XPV)細胞は、他のXP細胞と異なりDNAの紫外線損傷の除去修復機構には異常がなく正常細胞と同程度の致死感受性であるが、極めて突然変異を起こしやすいことが知られている。本研究では、XPV細胞の高突然変異性が細胞周期の制御メカニズムの異常に起因すると仮定し、その是非を検討した。
[結果と考察]XPV細胞に紫外線を照射し、p53、 p21およびGADD45タンパク誘導を経時的に調べたところ、p53とGADD45タンパクの誘導は、正常細胞と同様であるが、p21タンパクの誘導が見られないことがわかった。また、正常細胞では、紫外線照射後、18時間目あたりから生ずる厳密な細胞周期進行の抑制がXPV細胞では見られない。一方、XPV細胞におけるアポトーシス細胞の出現頻度は、正常細胞のそれに比べ極端に少ないことがわかった。これらの結果から、XPV細胞にはp53-p21経路を介した細胞周期制御とアポトーシス誘導機構に不備があり、DNA損傷を持った細胞の修復あるいは排除が巧く行かず、損傷DNA部位における複製が進行することが高突然変異性の原因と考えられる。