ABSTRACT 1442(P5-9)
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p53タンパク質誘導を指標とした抗腫瘍活性物質の新規検索法の確立: 時野香里1, 松下洋久2, 大野忠夫3,望月正隆11共立薬大, 2(株)ニチレイ診断薬開発センター,3理研・細胞開発銀行)

A novel screening for antitumor agent by the use of p53 induction : Kaori TOKINO1, Hirohisa MATSUSHITA2, Tadao OHNO3, Masataka MOCHIZUKI1 (1Kyoritsu College of Pharmacy, 2Nichirei Corp. Diagnos. Div., 3RIKEN Cell Bank)
 
DNAと特異的に反応し抗腫瘍活性を持つ物質の検索法を開発するため、4種のヒト白血病細胞胞(BALL-1, CCRF-HSB-2, KU812, MOLT-4)にDNA損傷性ストレス(γ線照射、シスプラチン、エトポシド)を与え、正常型p53遺伝子を持つCCRF-HSB-2細胞で顕著な細胞毒性が観察された。細胞毒性はp53タンパク質の機能であるG1期停止や、アポトーシスにより導かれたことを報告した。この結果はCCRF-HSB-2 細胞に特異的であり、抗がん活性を持たない化合物では細胞毒性が認められなかった。CCRF-HSB-2細胞はp53タンパク質の誘導を指標とした抗腫瘍活性物質の新たな検索法に有用であると考え、新たに合成し、抗腫瘍活性が期待されるBis(bromomethyl)-quinolineをこの検索法で検定した。本化合物は構造内に二官能基を持ち、DNAとシスプラチン様に反応することが期待される。また、構造内には重金属を含まないため毒性の軽減が予想される。この化合物がDNAと反応して、架橋を形成すること、鎖切断活性を持つことを明らかにし、さらに速やかにp53, p21タンパク質を誘導すること、アポトーシス、細胞周期停止を引き起こすことを確認したので報告する。この結果により本検索系の有用性が証明され、本化合物の抗腫瘍活性が期待される。