ABSTRACT 1444(P5-9)
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ヒト細胞の温熱応答性に対するp53蛋白質の蓄積:都田真奈、鈴木啓司、児玉靖司、渡邉正己(長崎大・薬・放生命)

Effect of p53 protein accumulation on the heat response of human cells : Mana MIYAKODA, Keiji SUZUKI, Seiji KODAMA, Masami WATANABE (Lab. Radiat. & Life Sci., Nagasaki University)

正常細胞においてp53蛋白質は温熱処理など様々なストレスにより誘導され、p21、GADD45あるいはBax、Bcl-2の発現制御を介して細胞周期制御あるいはアポトーシスをひきおこし発癌を抑制していると推測されている。多くの癌細胞ではp53機能を欠失し、上記のようなストレス応答がないが、p53を人為的に発現させることによってストレス応答反応が正常細胞と同様に動くかどうかは興味深い。今回、我々はp53を自由に発現制御できるエクダイソン誘導ベクターシステムを作製し、p53を欠失した肺癌由来細胞H1299に導入した。その結果、エクダイソン合成類似体を培養液に添加後、2時間でp53蛋白質の誘導が見られ、引き続いてその下流のp21、GADD45の誘導が見られた。p53蛋白質のレベルは約20時間でピークに達した。これらの蛋白質の誘導に伴って、8時間以降でS期の細胞の減少が見られ始め、48時間で完全なG1停止が観察された。このようにエクダイソン誘導ベクターシステムを導入しp53蛋白質を発現させることによって、癌細胞に欠損したp53蛋白質を発現させ、ストレス応答能を回復させることができることがわかった。