ABSTRACT 1450(P5-9)
 ポスターセッション一覧 トップ 


p53蛋白質とRad蛋白質の相互作用:瀬川薫1、朝川真也子1、山下利春2、箕輪明子11慶大・医・微生物、2札医大・がん研)

Interaction of Rad proteins with p53 protein : Kaoru SEGAWA1, Mayako ASAKAWA1, Toshiharu YAMASHITA2, and Akiko MINOWA1(1Dept. of Microbiol., Keio Univ. Med. Sch. and 2Cancer Inst., Sapporo Med. Univ.)

p53蛋白質のC末領域には、組み換え修復の素反応の一つであるDNA鎖移行活性(strand transfer activity)とDNA鎖アニーリング活性(DNA annealing activity)が検出されている。 これらの活性は種々の因子によって制御されていることを既に明らかにした。本年度は、組み換え修復複合体の中で中心的役割を果たしているRad51蛋白質、およびそれに結合し機能発現に重要な役割を果たしているRad52蛋白質が、p53蛋白質のDNA鎖移行、DNA鎖アニーリング活性にどのような作用を及ぼすかを解析し以下の結果を得た。(i)大腸菌で発現させ精製したマウス由来のRad51, Rad52蛋白質は、p53蛋白質のC末領域に結合した。 (ii)精製したRad51, Rad52蛋白質標品は、p53蛋白質のDNA鎖アニーリング活性、およびDNA鎖移行活性を効率よく阻害した。 しかし、阻害の程度は、Rad51、Rad52蛋白質で違いが認められた。 (iii) Rad51およびRad52遺伝子を含む組み換えアデノウイルスを感染させた、p53蛋白質を発現していない(10)1細胞の紫外線照射後の生存率は、lacZアデノウイルスを感染せた対照よりも増加したが、p53アデノウイルスを同時感染することによって減少した。
以上の事実より、p53蛋白質は組み換え修復を担う種々の蛋白質と相互作用し、修復反応を制御している可能性が示唆された。