ABSTRACT 1451(P5-9)
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ヒト癌細胞株における53BP2遺伝子の検索:森俊之1,2,河邊拓己1,手塚俊文1,岡本完1,楊建平1,上田龍三2,岡本尚1(名市大・医・1分子医学研・分子遺伝学,22内)

Genetic analysis of 53BP2 in human cancer cell lines:Toshiyuki MORI1,2, Takumi KAWABE1, Toshihumi TETUKA1, Hiroshi OKAMOTO1, Ryuzou UEDA2, Takashi OKAMOTO1 (1Dept. Mol. Gen., 22nd Dept. Int. Med, Nagoya City Univ.)

[目的] 53BP2は癌抑制遺伝子p53と結合する蛋白として同定され、その後G2/Mアレストおよびアポトーシスとの関連が示唆された。我々はp53の遺伝子変異のない各種がん細胞株で53BP2の遺伝子の発現とp53結合領域の塩基配列を検索し発癌に関わる可能性を追求した。[方法] 検索の対象とした細胞株はヒト肺癌(A549, NIH H460, SBC3, LU99)、大腸癌(LOVO)、乳癌(MCF7)、白血病細胞(MOLT4)由来のものを用いた。対照としてp53遺伝子変異の同定されているもの(HT29, SW620, CEM, THP1)も調べた。これらの細胞株からmRNAを抽出し、p53との相互作用領域(ankyrin repeats及びSH3ドメイン)と第3の蛋白との結合部位と考えられるProline-rich領域を含むcDNA部分(2202-3022 nt)をRT-PCR法で増幅し塩基配列の決定を行った。53BP2 mRNA発現はノーザンブロット法によって調べた。[結果] これらの癌細胞株における53BP2遺伝子は、p53の変異の有無に関わらず検索した領域に関する限り変異は認められなかった。53BP2 mRNAの発現レベルについては総会にて報告する。[考察] p53遺伝子変異はがん全体の半数ほどに見いだされるが、それ以外の遺伝子の異常については様々な報告があり一定した見解はない。今回、我々はp53の作用のうちアポトーシス誘導に関わる可能性の示唆される53BP2遺伝子について検索した。その結果、少なくともこの遺伝子の機能的領域と考えられる部分に変異は認められなかった。今後、本遺伝子の発現を含めて検索を進め最終的な結論を出したい。