ABSTRACT 1454(P5-10)
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ヒト口腔扁平上皮癌におけるp16 遺伝子異常の検索:赤沼大輔1,2, 鵜沢成一1,2, 吉田光明2, 天笠光雄1, 池内達郎21東京医歯大・歯・一口外, 2難治研・遺伝疾患)

Analyses of p16 gene alterations in human oral squamous cell carcinoma: Daisuke AKANUMA1,2, Narikazu UZAWA1,2, Mitsuaki A. YOSHIDA2, Teruo AMAGASA1 and Tatsuro IKEUCHI2 (11st Dept. Oral Maxillofac. Surg., Fac. Dent., 2Div. Denet., Med. Res. Inst., Tokyo Med. and Dent. Univ.)

口腔扁平上皮癌 (OSCC) を含む頭頚部扁平上皮癌では9番染色体短腕 (9p21) 領域のLOHが高頻度に認められ, この領域に存在する抑制遺伝子の候補としてp16 遺伝子が注目されている.我々はこれまでOSCCの細胞株や手術検体においてp16 遺伝子の発現異常が高頻度に認められることを見出し, 昨年本学会にて発表した.今回は細胞株を対象としたRT-PCR法において, 正常な発現が見られた例についてダイレクトシークエンシング法により突然変異の有無を検索し, genomic DNAについても同様に解析を行った.その結果, 全ての細胞株でp16遺伝子の発現異常が検出され, その異常の機構は置換, 挿入, スプライシング変異, ホモ欠失等多岐にわたっていることが明らかになった.genomic DNAには異常がなく, 発現が消失していた例では, 高メチル化がその原因となっていた.RT-PCR法のみの解析結果では,発現異常を示す症例の頻度に細胞株 (71%) と手術検体 (77%) との間に大きな相違はみられなかった.以上の解析の結果, OSCC発生過程において有意な役割を担っている9p21領域の遺伝子はp16である可能性が高いことが示された.