ABSTRACT 1455(P5-10)
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ヒト口腔扁平上皮癌におけるp16 遺伝子変異の検討:太田信介1,大村進1,藤田浄秀1,窪田吉信2(横浜市大・医・1口外,2泌)

Mutation analysis of p16 gene in human oral squamous cell carcinoma : Shinsuke OHTA1, Susumu OMURA1, Kiyohide FUJITA1, Yoshinobu KUBOTA2 (1Dept. of Oral Surg., 2Dept. of Urol., Yokohama City Univ.)

癌抑制遺伝子の1つであるp16遺伝子は染色体9p21に位置し、p15、p21、p27等を含むCDK inhibitor の一つをコードしている。ヒト癌では染色体9p21〜22に欠失等の変異を高頻度に認める事が知られ、そこに位置するp16は家族性の黒色腫、食道癌等で高率に遺伝子変異が認められている。これまで口腔領域を含む頭頚部扁平上皮癌としてp16の欠失や変異について検索が行われてきたが口腔癌とp16 遺伝子との関係ははっきりしていないのが現状である。今回われわれは、96年4月より2年の間に横浜市立大学医学部付属病院口腔外科を受診した41例の口腔扁平上皮癌を対象としてp16遺伝子変異につきDNA-SSCP 法、Microsattelite Marker によるLOH解析、定量的RT-PCR法を用いたp16,p16β発現の比較などを行った。その結果、p16遺伝子の点突然変異は41例中5例(12%)のみであったが、定量的RT-PCR 法による発現の異常は25例中6例に認め、うち16%(4例)に5'-CpG Island methylation が示唆され、8%(2例)にhomozygous deletion(HD)が示唆される結果であった。またこれらの解析により何らかの遺伝子変異を認めたものは41例中29例(70%) であった。これらより口腔扁平上皮癌の発生と進展にはp16遺伝子の突然変異そのものの関与は低いものの、methylation やHDによる遺伝子発現の異常など、 p16遺伝子異常の何らかの関与があると推察された。