ABSTRACT 1456(P5-10)
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ヒト膵がんにおける遺伝子異常の網羅的解析:井上雅之1、村上善則1、熊田馨1、関谷剛男11国立がんセ・研・腫瘍遺伝子、2昭和大・藤が丘・外)

Comprehensive analysis of genetic alterations in human pancreatic cancers : Masayuki INOUE1, Yoshinori MURAKAMI1, Kaoru KUMADA2 , Takao SEKIYA1 (1Oncogene Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst., 2Dept of Surgery, Showa Univ. Fujigaoka Hosp.)

[目的]膵がんの同一手術材料を用いて種々の既知遺伝子の異常、DNA 異常を解析し、その相互の意義を明らかにする。[方法と結果]56 例の手術摘出膵がん組織、並びに同一患者の非がん部組織より抽出した DNA を材料とし、K-ras, p53, DPC4, p16, RB 遺伝子の変異の有無を PCR- SSCP 法にて検索し、塩基配列を決定した。この結果、各々 23 例 (41%), 13 例 (23%), 3 例 (5%), 8 例 (14%), 2 例 (4%) に変異を見出した。またサザンブロット法にてcdk4, cyclin D1, AKT2 遺伝子の増幅の有無を検索し、4 例 (7%) に AKT2 遺伝子の増幅を認めたが、cdk4, cyclin D1 遺伝子の増幅は認めなかった。更に 5 か所のマイクロサテライト塩基配列、4 か所の一塩基繰り返し配列をPCRにより増幅し、断片長の異常を検討したが、不安定性は全く認められなかった。[考察]複数の遺伝子異常は進行がんでより顕著に認められ、がんの多段階の進展に対応すると考えられた。一方、一部の膵がんは、既知の遺伝子の関与しない別の経路で発生、進展する可能性が示唆された。