ABSTRACT 1458(P5-10)
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子宮体癌および内膜増殖症におけるp16遺伝子変化の検討:津田浩史1、井上健2(大阪市総合医療セ 婦人科1, 同病理2

p16 alterations in endometrial malignancies: Hiroshi TSUDA1, Takeshi INOUE2. (1Dept. of Ob. /Gyn, 2Dept. of Pathology, Osaka City General Hosp)

(目的)p16遺伝子産物はcyclinD1とcyclin dependent kinase (Cdk)4によるRb蛋白のリン酸化を介して細胞周期のG1/S期の進行を調節する。そして多くの癌種でこれらの異常が報告されている。本研究では子宮体癌および内膜増殖症におけるp16遺伝子の異常につきDNAレベル、蛋白レベルで検討した。
(方法)子宮体癌23例、内膜増殖症11例を対象とし、摘出腫瘍の10%ホルマリン固定パラフィン包埋切片を材料とした。(1)DEXPATTM kitにてDNAを抽出後、p16 exon1, 2をPCR-SSCP法でスクリーニングの後、cycle sequencing法で塩基配列を決定した。(2)β-globinとCDKN2 exon2にprimerを設定し、Multiplex PCR法にてp16の欠失を検討した。(3)p16に対する抗体を用い免疫組織学的方法によりp16蛋白の発現を検討した。
(成績)(1)体癌症例1例でSSCP法にてp16遺伝子のmobidity shiftがあったが、intron1のpoint mutationであった。(2)3期症例1例でp16遺伝子の欠失と判定された。(3)p16蛋白は体癌症例3例(3/23; 13.0%)および内膜増殖症例5例(5/11; 45.5%)において発現を認めなかった。p16蛋白の発現を認めなかった体癌症例は1B,3A,3C期各1例ずつで、そのうち1例はMultiplex PCR法にて欠失と判定された。
(結論)(1)子宮体癌および内膜増殖症においてはp16のDNAレベルの異常は頻度が低かった。(2)p16蛋白の発現の欠如は子宮体癌よりむしろ内膜増殖症において頻度が高かった。