ABSTRACT 1461(P5-10)
 ポスターセッション一覧 トップ 


小児急性白血病におけるp16遺伝子の不活化の検討-特にメチル化の関与について-:西村良成、新井田要、後藤義則、市原強、犀川太、小泉晶一(金沢大・小児)

High frequency of loss of p16 expression,but low of hypermethylation: Ryosei NISHIMURA, Yo NIIDA, Yoshinori GOTO, Tsuyoshi ICHIHARA, Yutaka SAIKAWA, Shoichi KOIZUMI (Dept. of Ped.,Kanazawa Univ.)

【目的】p16遺伝子は癌抑制遺伝子と考えられ血液腫瘍においても高頻度にLOHが存在することが知られている。また近年プロモーター領域のメチル化による不活化の機構が大腸癌を中心に報告された。今回、小児急性白血病臨床検体を用いp16の発現量の低下とメチル化の関連性について検討した。
【方法】小児急性白血病51例(Common ALL 23例、Pre-B ALL 7例、Other B 3例、T-ALL 7例、AML 11例)を対象とした。RT-PCR法にてp16の発現を検討し、更に発現量の低下した症例に対してメチル化感受性制限酵素を用いたサザンブロット法にてプロモーター領域のメチル化の有無を検討した。
【結果】Common ALL 23例中9例、Pre-B ALL 7例中2例、Other B 3例中0例、T-ALL 7例中2例、AML 11例中4例、全体では51例中17例 (33%)でp16の発現量の低下が認められた。17例中7例が再発症例であった。また経過を追えた4例中2例で再発時のみ発現量の低下がみられた。メチル化は、AMLの1症例を除き全てで認められなかった。
【考察】p16遺伝子の発現量の低下は比較的高頻度でみられる現象であった。特に再発時に発現が消失する傾向にあったがプロモーター領域のメチル化はほとんど認められなかった。メチル化以外にも転写を調節する機構の存在が示唆された。