ABSTRACT 1464(P5-10)
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マウス不死化線維芽細胞株におけるp16INK4a 、p19ARF 発現の検討: 小幡雅彦、小川勝洋(旭川医大・医・1病理)

Expression of the p16INK4a and p19ARF in immortalized fibroblast cell lines: Masahiko OBATA, Katsuhiro OGAWA (Dept. of Pathology, Asahikawa Medical College)

p16は多くの腫瘍並びに腫瘍由来細胞株での欠失が報告されている。以前我々がマウス 不死化線維芽細胞株を用いてLOH解析を行ったところ,LOHはp16の位置する第4染色体で極めて高率に認められ,約半数の細胞株ではp16のホモ欠失があったことから,不死化に同遺伝子も関与している可能性が考えられた。また最近のp16ノックアウトマウスの解析からも同遺伝子が不死化に関与することが示唆されている。p16にはexon2とexon3を共有するが異なるexon1( 1αと1β )よりなる2種類の転写物p16INK4aとp19ARFが存在することが明らかにされてきた。そこでこれらの転写物の不死化への関与をC3D2F1マウス胎仔由来自然不死化線維芽細胞株を用いて検討した。ノーザンブロット法でp16INK4aとp19ARFの発現を検討したところ,両転写物とも発現は少数の細胞株に限られており、 同一の細胞株で発現していた。よって,p16INK4a とp19ARFはともに欠失のターゲットになっていると考えられた。また,以前サザンブロット法でp16のホモ欠失が認められた細胞株では両転写物とも発現がみられなかったが、ホモ欠失の認められない細胞株でも発現がみられないものがあることから,その発現はメチル化等のepigeneticな調節を受けている可能性が考えられた。さらに,興味深いことにp19ARFの発現はLOH, mutationによってp53が唯一不活化されている細胞株で高いことからp19ARFのp53を介する作用が示唆された。