ABSTRACT 1465(P5-11)
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酵母の色彩によるAPC遺伝子変異の検出法の確立:古内恵司、浜田淳一、秋田弘俊3、三品孝行3、樋田康浩、古内奈留美、外木秀文、細川眞澄男2、守内哲也(北大・医・癌研細胞制御、2病理、3一内)

Development of detection system for APC mutation by using color of S. cerevisiae: Keiji FURUUCHI, Jun-ichi HAMADA, Hirotoshi AKITA, Takayuki MISHINA3, Yasuhiro HIDA, Narumi FURUUCHI, Hidefumi TONOKI, Masuo HOSOKAWA2, Tetsuya MORIUCHI1 (Div. of Cell Biol., 2Pathol., Cancer Inst., 31st Dept. Med., Hokkaido Univ. Scl. of Med.)

【目的】APC遺伝子の異常は、大腸癌をはじめ、多くの癌の発癌および悪性化に関与している。APC cDNAが8.5kbpの巨大な分子のため、既存の方法による遺伝子変異の検索は困難であった。APCの遺伝子変異には、停止コドンを生じる変異が非常に多いことに着目し、酵母の色彩で変異の有無を判別する方法を確立した。
【方法・結果】APC cDNAを5つの領域に分割し、それぞれのcDNAを酵母のADE2遺伝子にin-frameに連結して融合蛋白発現ベクターを作製した。次いで、それぞれのベクターを制限酵素で処理し、cDNAの中間部をくり抜いてギャップベクターを作製した。まず、APC遺伝子の変異型細胞株(DLD1)からRNAとDNAを抽出し、RT-PCR(エクソン1-14)及びPCR(エクソン15)で5つ領域を増幅した。そして、各PCR産物とギャップベクターを同時に酵母に導入した結果、両者とも変異を含む領域のアッセイでのみ酵母コロニーは全て赤色となった。同様に、野生型細胞株(HCT116)用いた結果、酵母コロニーは全て白色となった。次に、HCT116とDLD1を一定比率で混合してアッセイを行った結果、赤コロニーの割合は DLD1の比率に比例した。そして、非小細胞肺癌とFAP患者の大腸ポリープを対象にアッセイを行った結果、1症例ずつナンセンス変異が証明された。
【考察】全長8.5kbpにわたるAPC cDNAのナンセンス変異、フレームシフト変異を鋭敏にしかも簡便に検出する方法が確立できた。これによって癌に於けるAPC変異の解析が進むことが期待される。