ABSTRACT 1471(P5-11)
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APC遺伝子のコンディショナルジーンターゲッティングによる膵癌発生過程の解析:廣田衛久1、柴田浩行2、野田哲生1,31癌研・研・細生、2東北大・加齢研・癌化学療法、3東北大・医・分子遺伝)

The analysis of the role of APC gene in the initiation process of pancreatic cancer by conditional gene targeting method: Morihisa HIROTA1, Hiroyuki SHIBATA2, Tetsuo NODA1,3 (1Dept. Cell. Biol., Cancer Inst., 2IDAC., Tohoku Univ., 3Dept. Mol. Genet., Tohoku Univ.Sch.Med.)

【目的】膵癌においてはK-ras,P53,P16,DPC4遺伝子の変異が高率に認められる。さらに、報告によりその頻度はまちまちであるが、APC遺伝子の変異もまた認められる。しかし、膵癌発癌過程の各段階におけるこれら遺伝子変異の機能について詳細は不明である。そこで我々はこのAPC遺伝子と膵癌において高率に変異が同定されるP53遺伝子の機能とその関与に注目し、コンディショナルジーンターゲッティング法を用いた膵癌発癌過程の分子的機構の解明を試みた。
【方法】コンディショナルジーンターゲッティングには、我々が樹立したAPC遺伝子のExon14がloxP配列ではさまれているサイレントミュータントマウス(APC580S)と、細胞内でCre組み換え酵素を発現させる非増殖型アデノウイルス(Adex Cre)を用いた。APC580Sホモ接合体を開腹し、Adex Creを直視下に膵臓に注入した。さらにAPC580SとP53ノックアウトマウスとの交配による、P53-/-,APC580Sホモ接合体にも同様に注入実験をおこなった。
【結果】Adex Creを注入したAPC580Sホモ接合体には明らかな腫瘍形成は観察されなかった。しかし、P53-/-,APC580Sホモ接合体では注入後8週より腫瘍形成を観察した。現在さらに分子レベルでの解析を進めている。