ABSTRACT 1474(P5-12)
Differential Display 法による卵巣癌特異的遺伝子の単離:β-catenin 遺伝子と卵巣癌発生との関係:瀬川智也1, 笹川寿之1, 東朋美2, 西條清史2, 井上正樹1 (1金沢大学・医・産婦人科, 2金沢大学・医・衛生学)
Functional significance of β-catenin gene in the development of ovarian cancer. Tomoya SEGAWA1, Toshiyuki SASAGAWA1, Tomomi, HIGASHI2, Kiyofumi SAIJHO2, Masaki INOUE1 (1Dept. of Obstet./ Gynecol., 2Dept. of Hygiene, Kanazawa Univ. ,)
(目的)卵巣癌の発生に関与する遺伝子の単離と解析。
(方法)組織型の異なる2種類の卵巣癌と卵巣前癌病変のpair 組織からcDNAを作成しdifferential Display を行い、それぞれの組織に特異的に発現している遺伝子を単離した。
(結果)各組み合わせの比較により発現に差のみられた約80個の遺伝子を分離した。そのうちの約30個は未知の遺伝子であり、残りはすでにDNAデーターバンクに登録済みの遺伝子で機能の不明のものと、既知の遺伝子であった。既知の遺伝子のうちSerous adenoma low-potential malignancy (serous LPM)に比べSerous adenocarcinomaで増加していたものの1つはβ-cateninであった。RT-PCR法を用いて、数腫類の卵巣癌と良性の卵巣嚢腫との間で比較したところ卵巣癌ではβ-catenin mRNAの発現増加が認められた。卵巣癌におけるβ-catenin 遺伝子の発現増加は、大腸癌で指摘されているような、β-catenin 遺伝子の(GSK3βによるリン酸化部位)変異と関係するのかどうか、あるいはβ-cateninの結合蛋白であるE-cadherinや癌抑制遺伝子APC (adenomatous polyposis coli)との関係に影響するのかどうかについて現在検討している。
(結論)Differential Display 法により卵巣癌発生に関与すると推察される遺伝子が同定された。