ABSTRACT 1477(P5-12)
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AxinによるWnt-3a依存性β-catenin蓄積の抑制:岸田想子,小山眞也,池田聡,岸田昭世,菊池章(広島大・医・生化)

Axin inhibits Wnt-3a-induced accumulation of β-catenin:Michiko KISHIDA,Shinya KOYAMA,Satoshi IKEDA,Shosei KISHIDA,Akira KIKUCHI(Dept. of Biochemistry, Hiroshima Univ. Sch. of Med.)

私共がGSK-3β結合蛋白質として見出したAxinは、β-cateninと結合してWntのシグナル伝達系を抑制的に制御してカエルの体軸形成を決定する。癌抑制遺伝子産物APCもβ-cateninと結合してその分解を促進する。私共は、AxinがAPCと結合することを明らかにしているが、AxinがWnt依存性のβ-cateninの蓄積に影響するか否かは明らかでない。この点を明らかにするために、可溶性のWnt-3aをマウス線維芽細胞(L細胞)に作用させて、β-cateninが蓄積する実験系を確立した。L細胞ではβ-cateninはゲル濾過により分子量670 kDa以上と200 kDa付近に溶出されるが、Wnt-3aは時間依存性、用量依存性に低分子量側のβ-cateninを増加させた。一方、Axinを発現させたL細胞では、Wnt-3aによるβ-cateninの増加は完全に抑制され、特に低分子量側のβ-cateninの減少は著明であった。さらに、Wnt-3aは転写因子Tcfを活性化したが、Axinはこれを抑制した。APCが変異しているヒト大腸癌細胞(SW480細胞)ではβ-cateninが増加しているが、Axinを過剰発現すると、β-cateninが減少した。これらの結果は、これまでに報告されているAPCによるβ-cateninの分解に関する知見と類似しており、AxinとAPCは類似の作用によりβ-cateninを分解することが示唆された。本研究は、京大・理・分子発生生物セ・高田慎治博士との共同研究である。