ABSTRACT 1478(P5-12)
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Axinによるβ-cateninのGSK-3βによるリン酸化の促進:池田 聡,岸田想子,小山眞也,岸田昭世,菊池 章(広島大・医・生化)

Axin stimulates phosphorylation of β-catenin by GSK-3β: Satoshi IKEDA,Michiko KISHIDA, Shinya KOYAMA, Shosei KISHIDA, Akira KIKUCHI (Dept. of Biochemistry, Hiroshima Univ. Sch. of Med.)

Wntシグナルの伝達経路の構成分子であるβ-cateninは、転写因子Tcfと結合して核へ移行する。β-cateninはリン酸化を引き金としてユビキチン化を受けプロテアソームにより分解されると考えられている。Wntシグナルの伝達経路上β-cateninの上流に存在するGSK-3βがβ-cateninのリン酸化を行うと期待されてきたが、実験的に証明されていなかった。そこで今回、GSK-3βからβ-cateninへのシグナル伝達を明らかにするためにGSK-3βと結合する蛋白質をスクリーニングし、Axinを同定した。Axinはマウス、アフリカツメガエルにおいて、Wntシグナルに対して抑制的に作用して体軸形成を制御することが知られている。そこでWntシグナルの伝達経路におけるAxinの役割を解析した。AxinはN末端側にRGS (regulators of G protein signaling)と、C末端側にDsh (Dishevelled)と相同性の高い部位を有している。Axinは野生型のGSK-3βと結合したが不活性型のGSK-3βとは結合しなかった。また、Axin上のGSK-3β結合部位に隣接してβ-catenin結合部位が存在し、Axin、GSK-3βとβ-cateninは三者複合体を形成した。さらにAxinはGSK-3βによってリン酸化され、またGSK-3βによるβ-cateninのリン酸化を促進した。したがって、AxinはWntシグナルの伝達経路においてGSK-3βとβ-cateninとをつなぐ因子であり、β-cateninの分解を制御することが示唆された。