ABSTRACT 1481(P5-12)
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ヒト癌における paxillin isoform の発現の解析:内田浩1,2,真崎雄一1,橋本茂1,佐邊壽孝1,31大阪バイオ研第1部門,2慶大・医・産婦,3PRESTO・JST)

Expression of paxillin isoforms in human carcinomas : Hiroshi UCHIDA1,2,Yuichi MAZAKI1,Shigeru HASHIMOTO1, and Hisataka SABE1,311st Dept., OBI, 2Keio Univ., 3PRESTO, JST)

インテグリン裏打ち蛋白質であるパキシリンは、種々の情報伝達分子と結合し、運動、増殖、分化などの制御に関与する。細胞の癌化に伴い獲得される浸潤・転移能にも細胞運動性の変化という観点からパキシリンが生理的役割を担っている可能性が考えられる。今回、我々は癌組織におけるパキシリンの関与を検討するため、ヒト大腸癌、食道癌のパラフィン包埋切片を用いて、パキシリン抗体を用いた免疫染色および、パキシリン mRNA probe を用いた in situ hybridization (ISH) を行った。免疫染色では、食道癌組織において細胞質にび漫性の陽性反応があり、浸潤部位辺縁に特に強い呈色反応を認めた。また、ISHにおいても大腸癌、食道癌ともに癌組織に正常組織よりも明らかに強い反応を認めた。以上のことから、パキシリンは癌組織において発現量が増加していることが判明した。今後は、すでに我々が報告している、パキシリンのアイソフォーム別に同様の検討を継続し、パキシリンと細胞の運動制御、癌細胞の浸潤・転移機構との関連を明らかにする。(本研究は産業医大第2病理笹栗靖之教授、島尻正平先生との共同研究である)