ABSTRACT 1482(P5-12)
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フィブロネクチン遺伝子の転写を抑制するG-rich配列結合タンパク質、G10BP-1の構造と機能:白砂 謙奈、織田 恵理、中島 琢磨、小田 鈎一郎 (東京理科大学、基礎工、生物工)

Characterization of a GC-Box Binding Protein responsible for the repression of the rat fibronectin gene
Kenna SHIRASUNA, Eri ODA, Takuma NAKAJIMA, Kinichiro ODA (Dept. of Biol. Sci. and Technol., Sci. Univ. of Tokyo.)

フィブロネクチン(FN)遺伝子はG0期のラット3Y1細胞では高レベルに発現しているが、アデノウイルスE1A遺伝子の発現及び血清刺激によりその発現レベルは著しく減少する。この抑制はE1A及び血清因子により誘導される転写抑制因子、G10BPが、FNプロモーターに存在する3つのG-rich配列に結合しSp1の結合を排除するためとわかった。
酵母菌を用いたOne-Hybrid法、及びE1A、E1Bによりトランスフォームされた3Y1細胞のcDNAライブラリーをサウスウエスタン法によりG10BPをコードすると思われるcDNAを単離した(G10BP-1と命名)。G10BP-1は385アミノ酸より成り中央部にb-Zip構造、C末端部に酸性アミノ酸領域を持つ。G0期に同調した3Y1細胞を血清刺激しG1-S進行中のG10BP-1,Sp1の発現レベルをウエスタン法で調べた結果、G0期ではG10BP-1は殆ど発現していないが中期以降発現レベルが著しく増大し、FN遺伝子の発現レベルと逆相関していることが分かった。Sp1の発現レベルは変化しない。G10BP-1発現ベクターを3Y1細胞に導入して樹立されたYG1細胞は構成的にG10BP-1を発現し、G0期でもFNの遺伝子の発現が抑制されていることが分かった。G0期のYG1細胞、G1期の3Y1細胞より調製した抽出液をGST-G10BP-1を結合させたGSビーズと混合した後、GST-G10BP-1と結合したタンパク質を溶出してウエスタン法で解析をした結果、G10BP-1はホモ2量体(または多量体)を形成することが分かった。