ABSTRACT 1483(P5-12)
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細胞基質接着斑蛋白質 HIC-5の細胞内酸化的ストレス反応への関与 :石野敬子、野瀬清、柴沼質子(昭和大・薬・微生物)

The involvement of the Focal Adhesion Protein, Hic-5 in oxidative stress:Keiko ISHINO, Kiyoshi NOSE and Motoko SHIBANUMA(Dept. Microbiol., Sch. Pharma. Sci., Showa Univ.)

【目的】 TGF-β1は細胞増殖抑制性サイトカインであり、そのシグナルの一部に活性酸素の関与が示唆されている。TGF-b1 および過酸化水素誘導性遺伝子として単離した HIC-5 遺伝子は、4つのLIMドメインを有する paxillin 類似の蛋白質であり、主に細胞接着斑に局在する。本研究は、細胞内酸化的ストレス反応へのHIC-5の関与の可能性について、その局在、及び相互作用因子の変化を中心に検討した。【方法・結果】(1)過酸化水素(1-5mM)処理時の細胞接着斑蛋白質の局在の変化をマウス筋芽細胞C2C12を用いてTriton分画/ウエスタンブロッティングにより検討したところ、過酸化水素添加10分後から HIC-5の可溶性画分から不溶性画分への移行が観察された。また、特異抗体を用いた細胞染色により、HIC-5は細胞接着斑での局在が減少し、核膜周辺への局在が増加した。一方、vinculinおよびpaxillinの局在は変化しなかった。(2)このとき、免疫沈降によりHIC-5とFocal Adhesion Kinase (FAK)の複合体形成の上昇が認められた。(3)HIC-5のFAK結合領域をGST-HIC-5欠損変異株を用いて検討したところ、N末端側に存在する3つのLDモチーフのうち、特にLD2が重要であることが示唆された。【結論】過酸化水素処理によりHIC-5蛋白質の細胞接着斑から核膜周辺への局在の変化が認められた。このとき同時にFAKとの複合体形成の上昇がみられた。