ABSTRACT 1485(P5-12)
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タイト結合分子Barmotin(7H6)とOccludinの大腸癌細胞株での発現異常
内海博之、小海康夫、渡辺麗子、佐々木賢一、飛岡弘敏、澤田典均、森道夫(札幌医科大学・医・第二病理)

Dysregulated expression of tight junction proteins, Barmotin and Occludin, in human color cancer cell lines: Hiroyuki UTSUMI, Yasuo KOKAI, Reiko WATANABE, Ken-ichi SASAKI, Norimasa SAWADA, Michio MORI (Dept. of Pathol., Sapporo Med. Univ.)

「目的」タイト結合は上皮細胞間の細胞極側に存在し、細胞間バリアの調節と膜蛋白質の拡散を制御する細胞装置であり、腸上皮の細胞極性や分化に重要な働きをしている。今回、我々は異なる分化度を示す大腸癌細胞株を用いてタイト結合分子の発現および局在を検討した。
「結果」高分化腺癌(T84)においてはタイト結合分子は正常上皮とほぼ同様の発現様式を示したが、分化度の低下に伴い中分化腺癌株(DLD-1)で、まずBarmotin(7H6)の発現低下と細胞質への拡散とOccludinの膜上での拡散が認められた。低分化腺癌(COLO320DM)では、BarmotinおよびOccludinの発現が著しく低下していた。特にOccludinでは転写レベルの欠失であることが明かになった。
「結論」大腸癌において癌細胞の分化度の低下に伴いタイト結合分子の発現異常が相関する傾向が見られた。特に低分化癌においては転写レベルでの発現欠失が見られまたアドヘレンス結合蛋白質E-cadherinの発現も欠失しており、タイト結合分子の遺伝子レベルでの発現異常が示唆された。現在、これらの細胞へのOccludin・Cadherinの遺伝子導入により癌化における意義を検討している。