ABSTRACT 1486(P5-13)
DNA mismatch 修復遺伝子hMSH2の発現と大腸癌家族歴の有無:前田 清,西口幸雄,小野田尚佳,大谷 博,仲田文造,奥野匡宥*,曽和融生*,平川弘聖(大阪市大.医.一外.,*大阪市総合医療セ)
Correlation between hMSH2 protein expression and familiy history of colorectal cancer.: Kiyoshi MAEDA, Yukio NISHIGUCHI, Naoyoshi ONODA, Hiroshi Otani, Bunzo NAKATA, Masahiro OKUNO*, Michio SOWA*, Kosei HIRAKAWA (1st. Dept. of Surg. Osaka City Univ. Med. Sch., Osaka City Med. Center)
[目的]DNA mismatch 修復遺伝子のひとつであるhMSH2遺伝子の発現と大腸癌の家族歴,進展との関係を検討した.[対象と方法]切除大腸癌146例を家族内群(発端者を含め,第一度近親者に2例以上の大腸癌を有する症例)45例と大腸癌の家族歴を有さない非家族内群101例とに分けて臨床病理学的に検討した.さらにhMSH2に対するモノクロ-ナル抗体を用い,免疫染色を行った.
[結果]家族内群では非家族内群に比べ,多発癌が高頻度にみられたが,その他臨床病理学的に明らかな差はみられなかった.hMSH2発現率は家族内群では20%,非家族内群では73%であり,有意に非家族内群で高値を示した.hMSH2発現と臨床病理学的諸因子との関係では家族内群では明らかな相関はみられなかったが,非家族内群では壁深達度,リンパ節転移程度,組織学的進行度が増すにつれ,hMSH2発現率は低値を示した.[結論]家族内群と非家族内群の間にはhMSH2発現率に差があり,両者の発癌過程に関与する遺伝子は異なることが推察された.