ABSTRACT 1490(P5-13)
大腸癌由来細胞株におけるミスマッチ修復蛋白の発現とマイクロサテライト不安定性:沖 英次1,織田信弥1,徳永えり子1掛地吉弘2,前原喜彦1,杉町圭蔵 1、2(1九大・医・腫瘍センター,2外)
Mutated gene-specific phenotypes of dinucleotide repeat instability in human colorectal carcinoma cell lines deficient in DNA mismatch repair: Eiji OKI1,Shinya Oda1,Eriko TOKUNAGA1,Yoshihiro Kakeji2, Yoshihiko MAEHARA1, Keizo SUGIMACHI1、2 (1Cancer Center, 2Dept. Surg.II, Med., Kyushu.Univ.)
一部の発癌の原因と考えられているミスマッチ修復蛋白群の異常は、マイクロサテライトDNA領域の長さの変化(マイクロサテライト不安定性、以下MSI)として認識できると考えられ、様々な悪性腫瘍でこのMSIを解析することが広く行なわれてきた。我々は蛍光シーケンサーを用いた極めて客観的なマイクロサテライト不安定性解析法を確立し以前報告した。今回この解析法を用いて、それぞれのミスマッチ修復蛋白の発現の異常がMSIで評価することが可能であるのか検討した。6種の大腸癌由来細胞株における5つのミスマッチ修復蛋白(hMSH2, hMSH6, hMLH1, hPMS1, hPMS2)の発現をWestern blottingで観察すると、4つの細胞にいずれかの蛋白の発現の異常を認めた。すべての細胞株から多数のサブクローンを得て、それぞれよりDNAを抽出し、クローン間のマイクロサテライト領域の変化を評価した。hMLH1の発現の異常を示すHCT116と、hMSH2の発現異常をもつLoVoでは多くのサブクローンで高頻度にMSIを呈した。しかしhMSH6のみに異常を持つ細胞では非常に低い頻度でしかMSIが生じることはなかった。すなわち、MSIはそれぞれの遺伝子変異を同等に評価するものではないが、hMSH2およびhMLH1の発現の異常は鋭敏に反映するものと考えられた。