ABSTRACT 1494(P5-13)
DNA塩基損傷のヒト修復遺伝子産物の細胞内局在:高尾 雅1, 油谷浩幸2, 安井 明1 (1東北大・加齢研, 2東大・第三内科)
Subcellular localization of human DNA repair gene products involved in base excision repair of oxidative damage: Masashi Takao1, Hiroyuki Aburatani2, Akira Yasui1 (1Dept. of Mol. Genetics, IDAC, Tohoku Univ., 2Third Dept. Int. Med., Univ. Tokyo)
[目的]ヒトの発癌や老化現象に重要な影響を与えることが示唆されている、活性酸素によるDNA塩基損傷を修復する、種々のヒト修復酵素遺伝子産物の細胞内局在を調べた。
[結果]塩基除去修復に関わる種々のヒト由来の遺伝子にタッグを附けてCOS-7細胞に導入し、それらの遺伝子産物の細胞内局在を調べた。8ーオキソグアニン (8-OG) のグリコシラーゼをコードするhOGG1には4つのsplicing variantsがあり、これらの産物は全てミトコンドリアに輸送された。その内Type 1aのみは核移行シグナルを持ち、実際、核でも確認された。複製により生じる8-OGに対合するアデニンを切り取るグリコシラーゼであるhMYHは主にミトコンドリアに輸送された。ピリミジンの酸化損傷のグリコシラーゼhNTH1の遺伝子産物はCOS細胞中で核とミトコンドリアに輸送された。このことはマウスのNTH1蛋白に対する抗体でも確認できた。これらとは対照的に、グリコシラーゼが切ったあとをプロセスするAPエンドヌクレアーゼ遺伝子 (hAPEX)産物はCOS細胞中で核にのみ見つけられた。
[結論]活性酸素による塩基損傷の修復を開始する主要な三種のDNAグリコシラーゼのヒト遺伝子産物が核とミトコンドリアで働くことを始めて示した。