ABSTRACT 1495(P5-13)
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相同 および非相同DNA組み換え修復に関わるMre11の細胞増殖における役割:岩井裕子,武田俊一(京大・医・分子免疫(バイエル))

An essential role of Mre11 in vertebrate cells : Yuko YAMAGUCHI-IWAI,Shunichi TAKEDA (Bayer chair Dept. of Mol. Immunol. and Allergiology, Graduate School of Medical Science, Kyoto Univ)

Mre11は出芽酵母の減数分裂期におこる相同DNA組み換えに必須な遺伝子として発見されたが、通常の細胞増殖中には非相同DNA組み換え修復に必要とされることが知られている。さらに、Mre11と複合体を形成するRad50がテロメアの維持に必要であることも報告されている。高等真核細胞では放射線の細胞への照射により核内でMre11がフォーカス形成するのが観察される。アタキシア・テランジェクタシア(AT)患者由来細胞ではこのフォーカス形成が顕著に減少し、逆に相同DNA組み換え修復遺伝子産物Rad51のフォーカス形成が増加する。したがって、ATM遺伝子からのシグナルがMre11の機能に重要である可能性が示唆されている。このMre11の高等真核細胞での役割をさらに明らかにするために、トリDT40細胞においてMRE11ノックアウト細胞を樹立した。Mre11は細胞増殖に必須であり、ノックアウト細胞は致死となったため、コンデイショナル・ノックアウト細胞を作製した。この細胞でトランス・ジーンの発現を抑制したところMre11の発現はほぼ24時間でウエスタン・ブロットで検出されなくなる。この時期の放射線照射後のRad51のフォーカス形成は正常であり、相同DNA組み換え修復はMre11非存在下で正常に作用すると考えられる。細胞増殖は発現抑制後約4日間、抑制をしていない細胞と同じく対数増殖を示したが、その後徐々に細胞は主にG2/M期で増殖を停止し致死となる。現在この致死の原因を解明中である。