ABSTRACT 1496(P5-13)
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A群色素性乾皮症モデルマウスにおける紫外線誘発皮膚癌由来細胞株の紫外線抵抗性獲得機構の解析
:市川稔、中津可道、中根裕信、田中亀代次(阪大細胞セ)

Analysis of UV-resistant phenotype of the tumor cell lines derived from UVB-induced skin cancers in the XPA model mice: Minoru ICHIKAWA, Yoshimichi NAKATSU, Hironobu NAKANE, Kiyoji TANAKA (Inst. Mol. Cell. Biol, Osaka Univ.)
 
A群色素性乾皮症 (xeroderma pigmentosum group A : XPA)は、ヌクレオチド除去修復機構に異常を持つ常染色体劣性の遺伝性疾患である。我々は遺伝子ターゲテイング法によりXPA遺伝子欠損マウスを作成し、それがヌクレオチド除去修復機構に異常を持ち、低線量紫外線照射により高頻度に皮膚癌が発生し、XPA患者における日光紫外線による高頻度皮膚発癌機構を解明する上でよいモデルになることを報告してきた。我々はXPA遺伝子欠損マウス由来の皮膚癌組織より癌細胞株を5株樹立し、それらのゲノム安定化機構と発癌との関連を解析している。これまでに得られた結果より、1)紫外線照射後のコロニー形成率の測定により、全細胞株においてヌクレオチド除去修復能を欠損しているにもかかわらず、XPA遺伝子欠損マウス由来の線維芽細胞に比べ紫外線抵抗性を示した。2)高度紫外線抵抗性を示した癌細胞株1株は、6-thioguanineに低感受性を示した。また、HPRT遺伝子の変異を指標とした突然変異頻度を測定した結果、この高度紫外線抵抗性である癌細胞株1株において自然突然変異率の上昇が認められた。3)全癌細胞株のうち3株でp53遺伝子の突然変異が検出された。ヌクレオチド除去修復能欠損株における紫外線抵抗性の獲得機構の解明を目的として現在、他のゲノム安定化機構との関連についても解析中であり発癌機構との関連も明らかにしたい。