ABSTRACT 1497(P5-13)
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LECラットの肝癌発症のおけるDNA修復機構の解析:三松謙司1,2、桜井健一2、甘利和光3、森 道夫4、江角真理子1、(日大医・1病理、21外、3脳外、4札幌医大・2病理)

Analysis of DNA repair system associated with hepato- carcinogenesis in LEC rat : Kenji MIMATSU1,2, Kenichi SAKURAI2, Kazumitsu AMARI3, Michio MORI4, Mariko ESUMI1 (Dept. of 1Pathol., 2Surg.1 and 3Neurosurg., Nihon Univ.Sch.Med.,4 Dept. of Pathol.2, Sapporo Med. Univ.)

<目的>LECラットはWilson病及び肝癌自然発症モデルである。銅輸送体遺伝子の変異により肝臓に銅が異常蓄積し、肝障害を引き起こすことが肝発癌の引き金になっているが、その発癌機構についてはいまだ不明である。そこで、DNA修復機構の異常がLECラットの肝癌発症に関わるかを調べる目的で(1)DNA傷害修復酵素8-oxo-dGTPase遺伝子(rMTH-1)の発現と変異解析(2)ミスマッチ修復機構に関し、各種反復配列の異常の有無を検討した。<方法>LECラット(発症前、肝炎、肝癌)、コントロールとしてLEAラット、Wistarラットの肝臓よりRNAを抽出しRT-PCRによりrMTH-1、TGFβR II、BAXの発現解析と塩基配列解析を行った。またLECラットの肝癌及びその非癌部、コントロールラットの肝臓よりDNAを抽出し、12のマイクロサテライト領域をPCRにより解析した。<結果・考察>LECラットではrMTH-1の発現は発癌前段階で低い傾向にあったが、変異は認められなかった。エラー頻度の高いと言われる反復配列3〜4塩基のマイクロサテライト領域において反復配列異常を検討したが認められなかった。また、ヒト癌にみられるDNA複製エラーの標的遺伝子TGFβR IIの(A)10、(GT)3配列、BAXの(G)8配列の異常についてLECラット肝癌で調べた結果、変異は認められなかった。以上より、LECラットの肝発癌過程では、今回検討した2つのDNA修復機構の異常は関与していないと考えられた。