ABSTRACT 1533(P5-16)
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Methylation-specific PCR(MSP)によるDNAメチル化の解析:浜野公成1,2,,千野健志2 , 岡田清己2 , 江角真理子1,(日大医・1 病理, 2 泌尿器科)

Methylation analysis by methylation-specfic PCR : Kiminari HAMANO1,2,Kenji CHINO2 , Kiyoki OKADA2, Mariko ESUMI1 (1Dept. of Pathol, 2 Dept. of Urol., Nihon Univ.Sch.Med.)

[目的]がん抑制遺伝子の不活性化のメカニズムとしてLOHや遺伝子変異の他に、最近メチル化による転写抑制が報告されている。そこでわれわれは、腎細胞癌のがん抑制遺伝子として知られるVHL 遺伝子についてメチル化の有無を検討するために、MSPを用いたメチル化の解析を試みた。今回、MSPで完全反応が必要とされるC→U変換反応が、DNAの長さによってその効率が左右されることを見い出したので報告する。[方法]メチル化が起こっていないと予想される末梢血リンパ球DNAを用い、制限酵素処理と未処理にわけて、bisulfite反応を行った。この化学修飾反応でCはUに変換するが、5mCは抵抗性を示し変換しない。DNA精製後、VHLプロモーター領域についてCpG配列を含まない部位にプライマーを設定し、C→T変換プライマーでPCRを行った。増幅産物を精製後、直接塩基配列を決定した。[結果・考察]制限酵素で断片化したDNAと未処理のDNAのC→T変換率は、それぞれ98.7%と64.9%であった。未処理のDNAで CpG配列だけに注目してC→T変換率を求めると、46.8%とさらに低かった。以上より、MSPにおけるbisulfite反応は、DNAが長いほど効率が悪く、CpG配列で変換率が低下する傾向のあることが判明した。不完全なbisulfite反応はメチル化判定で偽陽性をもたらす危険性があり、慎重に反応条件を検討する必要がある。