ポスターセッション

一覧　トップ

ヒト乳癌におけるestrogen receptor ∂遺伝子のDNAメチル化解析：岩瀬弘敬¹, 岩田広治², 遠山竜也¹, 原　泰夫¹, 大本陽子¹, 安藤由明¹, 小林俊三¹, 藤井義敬¹　(¹名市大・医・２外, ²愛知がんセ・乳外)

Methylation analysis of the estrogen receptor∂gene in human breast cancer: Hirotaka IWASE¹, Hiroji IWATA², Tatuya TOYAMA¹, Yasuo HARA¹, Yoko OMOTO¹, Yoshiaki ANDO¹, Shunzo KOBAYASHI¹, Yoshitaka FUJII¹ (¹2nd Dept. of Surg., Nagoya City Univ. Med. Sch., ²Dept. of Breast Surg. Aichi Cancer Ctr.Hosp.)

[目的] Estrogen receptor (ER) ∂は初期の乳癌細胞には強く発現しているが、癌の進行に伴って陽性細胞の割合が減少し、ホルモン依存性を失うとされている。一般に、遺伝子のpromoter領域にあるCpG islandのDNAメチル化はその遺伝子の発現を調節している可能性があり、ER∂遺伝子のpromoterのDNAメチル化は乳癌の進行に伴うER∂陰性化を考える上で興味深い。　[対象および方法] 対象は正常乳腺組織、原発乳癌組織から抽出したDNAで、DNA methylationの評価は、ER∂遺伝子の二つのpromoter(P0; distal, P1; proximal) およびER∂遺伝子のC端である。いずれもCCGGを含む配列を見いだし、HpaIIで消化してから同領域をPCRで増幅しDNAメチル化を評価した (HpaII-PCR法)。また、P1領域ではpOR3をprobeとしたSouthern blot法も併せて行った。　[結果および考案] 乳癌ではP0領域、C端でのDNAメチル化はERの発現と関連がなかった。一方、P1領域では正常乳腺組織9例はDNAメチル化をきたしていたが、ER陰性乳癌35例のうち28例、ER∂陽性乳癌40例のうち6例でDNAメチル化を認めた。ER∂遺伝子5'領域のCpG islandのDNAメチル化の程度がER∂発現に影響を与えている。