ABSTRACT 1542(P5-17)
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9番と18番染色体上に想定される神経芽腫の発生・進展に関与するがん抑制遺伝子の解析:滝田順子1・2、林 泰秀2、武居公子1、中島 孝3、花田良二4、山本圭子4、横田 淳 (1国立がんセ・研・生物、2東大・小児、3群馬大・第2病理、4埼玉小児セ・血液腫瘍)

Analysis of tumor suppressor genes on chromosomes 9 and 18 in neuroblastoma.: Junko TAKITA1,2, Yasuhide HAYASHI2, Kimiko TAKEI1, Takashi NAKAJIMA3, Ryouji HANADA4, Keiko YAMAMOTO4 and Jun YOKOTA1 (1Biol. Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst., 2Dept. Pediat., Univ. Tokyo, 3Dept. Pathol., Sch. Med., Univ. Gumma 4Div. Hem./Onc., Saitama Child. Med. Ctr. )

神経芽腫(NB)では9pと18qが高頻度に欠失している。そこで、NBにおける9、18番染色体の欠失の意義を明らかにするために9、18番染色体のdeletion mapを作成し、更にそれぞれの共通欠失領域に存在するp15、p16、p19及びDCC遺伝子がNBの発生・進展に関与しているか否かを検討した。NB 82例で計28座位のLOH解析を行なったところ、共通欠失領域は9p21、9q34-qter、18q21.1及び18pter-q12.3であった。特に9p21の欠失は予後不良と有意な相関を示した。次に9p21と18q21.1に存在するp15、p16、p19及びDCC遺伝子の異常を解析したところ、p16遺伝子はメチル化等による発現低下によりNB細胞の細胞周期を負に制御する機能低下をもたらし、悪性化に関与していることが分かった。免疫染色の結果からDCC遺伝子の発現低下は予後不良と有意な相関を示したが、LOHと発現との相関は認められなかった。以上よりp16、DCC遺伝子はNBの進展に関与するがん抑制遺伝子である可能性が示唆された。また9、18番染色体上にはこれら以外にもNBの発生・進展に関与する未知のがん抑制遺伝子が存在する可能性が示唆された。